複雑な法定相続分をわかりやすく

相続10

相続人の逝去によって生じる法律効果が相続です。死亡した本人は被相続人となり、その遺産は親密な間柄の遺族などに引き継がれます。この時に誰がどれだけの遺産を引き継ぐことができるのかを決めているのが法定相続分。

今回は、法定相続分が遺族のうち誰に、どの程度の割合で生じるのかを徹底解剖してわかりやすく見ていきましょう。


法定相続分を知る意味って?

法定相続分は言葉の通り、民法によって法律的に決められた相続分を指します。誰がどれだけの財産を継承できるのか、法律によって割合が定まっているわけです。しかし、実際には必ずしも法定相続分に従って財産が分配される必要はありません。

相続人同士が遺産分割の協議でお互いに譲り合ったり、被相続人が遺言によって、異なる割合で相続分を決めていくことだってできます。それでは、法定相続分なんて余り意味がないと感じるかも知れませんが、決してそのようなことはありません。

例えば、遺産分割で他の相続人と取り分で揉めた時などには、お互いの法定相続分を目安にして解決を目指すことができます。他にも色々な所で法定相続分と言うルールは大切になってくるので、相続が生じた際には知っておいたほうが安心です。

まずは基本!血縁者に生じる相続順位

逝去した本人を被相続人とし、その配偶者や子、親、兄弟に法定相続分が生じえます。ただし、一度に全員に生じるわけでは無いので注意が必要です。相続順位と言うものがあり、それによって相続人や相続分が決まっています。

まず、相続順位ですが、第一位は子供、第二位は親、第三位は兄弟姉妹と言うのが決まりです。これは被相続人に子供と親がいる時でしたら、子供のほうが先順位ですから、子供だけが相続権を得られることになります。被相続人に母と弟だけがいる場合には、先順位の母が相続人です。

もっとも順位が低い兄弟姉妹は、被相続人に子供も親もいない時でないと、相続分を得られないわけです。配偶者は常に相続人となる存在です。常にと言うのは被相続人に子供や兄弟がいても、その者と同時に相続分を保有することを意味します。

例えば、子供と兄弟がいる場合では、子供にだけ相続分が生じるのは先述のとおりです。ただし、常に相続人である配偶者は、子供がいても兄弟がいても、その者と一緒に相続して、遺産を分け合うことができるわけです。

法定相続分を紹介

相続順位によって誰が遺産を相続できるのかが決まります。そして、決まった相続人が誰であるかによって、法定相続分が変わってきますので、それを見ていくことにしましょう。・相続人が配偶者と子供の場合:配偶者2分の1、子供2分の1

・相続人が配偶者と親の場合:配偶者3分の2、父母3分の1

・相続人が配偶者と兄弟姉妹の場合:配偶者4分の3、兄弟姉妹4分の1

配偶者は、常に相続分を得て他の相続人と遺産を分け合う形になっているのがわかります。

もしも配偶者がいない時には、相続人が均等に遺産を分けるのがルールです。被相続人に配偶者がおらず、子供二人と兄弟姉妹だけの時ならば、子供二人だけが相続人となり、遺産は子供二人が2分の1ずつ相続します。兄弟姉妹の4人だけの場合では、それぞれが4分の1ずつを相続できるわけです。

ここで気をつけたいのが、配偶者は相続人となりますが、内縁の妻や夫は相続人になれないと言う点となります。愛人にとどまっているような場合は、もちろん、法定相続分は生じません。ただし、子供となると話は別です。

内縁の妻や夫、愛人との間に生まれた子供でも血縁にあるのは間違いありませんから、実子と同じように相続権を得ることができます。

養子と非嫡出子にも法定相続分は生じるの?

結論としては養子と非嫡出子にも法定相続分は生じます。両者ともに被相続人の子として相続の権利を獲得でき、実子や嫡出子に相続分で劣ることはありません。被相続人に嫡出子である子供1人、養子1人、非嫡出子1人がいる場合では、法定相続分に差は生じず、それぞれが3分の1ずつの取り分を持ちます。

養子も非嫡出子も、相続順位・法定相続分ともに、実子となんら変わりなく相続が可能なわけです。

少し複雑なのが半血の兄弟姉妹に関してとなります。半血と言うのはわかりやすく言えば、異父・異母兄弟のことです。被相続人が死亡して、全血兄と半血の弟がいる場合に、少し特殊な計算が必要になります。まず、半血の兄弟姉妹は相続順位としては全血の兄弟と変わりません。

しかし、相続分が全血兄弟の2分の1と言うのが法律上の決まりです。養子に関しては普通養子と特別養子がありますが、普通養子は実方の両親との相続関係も維持される点で、特殊な存在です。つまり普通養子は養親と実方のどちらかだけではなく、両方と相続関係を持ちます。

これに対して特別養子は、実方の両親との関係は完全に切断されますので、相続関係は養親に限って生じる決まりです。

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孫や甥姪にも相続分が生じることが!代襲相続について

基本的に被相続人の孫や甥・姪には法定相続分は存在しません。しかし、被相続人の死亡前に、相続関係にある子どもや兄弟姉妹が死亡している時には、その子や兄弟姉妹の子に相続権が与えられるルールがあります。これが代襲相続と呼ばれるもので、法定相続分を有することになりますから、この存在を無視して遺産分割を行うと、後から無効になってしまうリスクがあるわけです。

この代襲相続は少々複雑ですので、できるだけ判りやすく見ていきましょう。まず、3世帯家族として、おじいさん1人と、その息子であるA氏、さらに息子の子であるB君(おじいさんの孫)が暮らしていたとします。

この家族には、他に血縁者はいません。

この場合、いつかおじいさんが亡くなれば、その息子であるA氏が遺産の全てについて法定相続分を有することになります。しかし、親不孝なことに、おじいさんはまだ存命中なのに、先にA氏が他界してしまったとしましょう。

こうなると、おじいさんの身寄りは孫であるB君だけになるわけです。A氏が亡くなって、おじいさんとB君だけになってしまいました。ここでおじいさんが亡くなれば、誰が相続人となるのでしょうか。先に紹介したとおり、相続人となれるのは被相続人の配偶者、子、親、兄弟だけです。

本来であれば、おじいさんの孫に当たるB君は相続分を有しませんから、相続人になることはできなさそうです。この点、法律がB君の相続権を認めなければ、おじいさんの遺産は国庫に帰することになります。B君とおじいさんは共に唯一の家族のような間柄でありながら、おじいさんが亡くなった暁には国が遺産を持っていくと言うのは、あんまりです。

ここで民法においては、おじいさんの推定相続人であった故A氏の代わりに、B君が相続できると言うルールを作りました。これが、代襲相続と言う仕組みとなります。この代襲相続は他に相続人がいる場合でも効力を発揮するので、具体例を見てみましょう。

先程のおじいさんに、他に妻と息子Cがいた場合ならば、妻が2分の1、C氏が4分の1、B君が故A氏の相続分を代襲して4分の1の取り分を獲得できることになります。代襲相続は兄弟姉妹が相続人の場合にも生じるので、これも要チェックです。

X氏は弟であるY氏以外に身寄りがないのに、すでにY氏が死亡していた場合でも、Y氏に息子Z君がいれば、その息子に代襲相続が生じます。Z君はX氏からすると甥にあたりますが、このような事情で相続権を手に入れることがあるわけです。